山崎は小さく頷いた。


パッと電気が付いて、またクラシックやら人の声やらでざわついた。


『ねぇ、トイレ行ってきてもいい?』


「あぁ、一人で大丈夫か?」


『うん』


スタスタと歩いて行った山崎を見送って、ぼんやりしていると、前から佐久間さんがこちらに来た。


「初めまして」


深々と頭を下げると、ポン、と肩を叩いた。


「秋元さんとこの息子さんだね?」


「はい」


なんで知ってんだ?


「秋元さんの事は…残念だったね。
君の親父さんはね、亡くなる前に私の所へ挨拶をしに来たんだよ。」