「……確かに翔太君が好きだった。でも、翔太君への気持ちはただの憧れだったのかも。
翔太君て運動神経抜群でサッカー部のエースでしょ？
本当は憧れなのに、勝手に好きだって勘違いしてたみたい」


それはブラウン管の中のアイドルに抱く感情に似ていた。


恋に恋していただけ。


翔太君に恋している自分に酔っていただけなのかもしれない。


「へぇ。じゃあ、佐奈の好きな奴って誰？」


「……それは……」


今あたしの目の前にいる人だよ。


……銀が好きだよ。


そう素直に口に出せたらどんなに楽だろう。


でもあたしにはまだ銀に告白をする勇気がない。


外見を変えても、あたしの消極的な性格は変わらないままだった。