そして、銀はそのまま真っ直ぐあたしの元へと歩み寄った。


「佐奈、ちょっといい?」


「うん……」


銀に声を掛けられたのは久しぶりだ。


化学室での一件以来、銀はどこかあたしを避けているようだった。



教室を出て銀の背中を追い掛けて裏庭にいくと、銀はポケットの中から綺麗にラッピングされた小さな包みをあたしに差し出した。


「バレンタインデーのお返し」


「え?でも、キーホルダーも……」


「いいんだって。ほんの気持ちだから」


「……ありがとう。開けていい?」


「あぁ」


あたしはドキドキしながら綺麗にラッピングされた包みを開け中を覗き込んだ。