会社帰りのサラリーマン達と時間がぶつかり、電車の中は身動きが取れないほどだった。


「潰されてんじゃん」


「……あはは……」


あたしは人の波に押され、どんどん反対側の扉へと追いやられていった。


こんな時、自分の背の高さを呪いたくなる。


もっと背が大きければ吊革につかまって耐えられるのに。


あたしの様子を見ていた銀は、咄嗟にあたしの腕を掴み扉側に引っ張った。



「ここにいろ」


あたしをガードするように、両手を扉に当て後ろからの激しい押しに堪えている銀。


「大丈夫……?痛いでしょ?……銀、ごめんね……」


「謝るなって」


申し訳なくなり謝るあたしに銀はフッと目を細めて微笑んだ。



あ……今の顔……ヤバいなぁ。


その顔が堪らなく愛おしくて。


胸がキュンっと高鳴り、赤くなる顔を銀に悟られないようにあたしは終始俯いていた。