「あ、じゃあこれがいい!」 結局あたしが手にしたのは、猫のキーホルダーだった。 500円とこの店の中でもそこそこリーズナブルだ。 「……そんなんでいいの?もっと他にも……」 「いいの!これが気に入ったの!」 それは本心だった。 店の隅っこでひっそりと売られていたピンクの猫が何故か自分のように思えたから。 誰にも気付かれない空気のような存在。 そんな存在から救ってあげたくて、あたしはこの猫のキーホルダーを選んだ。