え……?どうなってるの?


あまりに突然のことに驚いて固まってるあたし。


そんなあたしを抱き締め、頭を優しく撫でると銀は体を離しこう言った。


「もう、寂しい想いはさせないから」


その台詞に頭がクラクラする。


男の子に抱き締められたことも、甘い言葉をかけられたこともないあたしの頭は爆発寸前で。


ドラマや漫画の世界でしか見た事のない、最高のシチュエーション。


誰もいない教室の中で、カッコいい男の子に抱きしめられている地味な女の子。


こんなことが現実に起きていいの?


一瞬にして頬が赤く染まり、全身が熱を帯びる。



「じゃあ、行くか?」


そんなあたしに気付いているのかいないのか。


銀は何事もなかったかのように、あたしの手を引き歩き出した。