「でも、しーは幸せだったと思う。佐奈っていう優しい飼い主と一週間も一緒にいられたんだから」


「そう思ってくれてるといいな……」


「きっとそう思ってるよ。だからきっと俺達をこうして出会わせてくれたんだ。今日会えたのも、しーのおかげかもしれない」


「そうだね……」


あたしは頷きながらしーちゃんが捨てられていた木の下に視線を移した。


「しーちゃん、ありがとう。本当にありがとう……」


そう呟くと、『ニャー』とあの日のようにしーちゃんの鳴き声がした気がした。


でもあの時のようなか細い声ではなく、元気そうな鳴き声だった。