思わず席を立ち、教室の扉からそっと顔を出すと、廊下に数人の女の子に囲まれた銀が立っていた。


「銀ー、今日暇?カラオケ行かない?」


「あ~今日は無理だ。ごめんな」


「いつもそればっかり。いつになったら遊んでくれるの?」


「遊ぶ気になったら」


「ふざけないでちゃんと答えてよ!」


「怒ると可愛い顔台無しだって」


「……もう。バカ!」


銀に褒められ、唇を尖らせながらも嬉しそうな女の子。


女の子の目は恋する乙女モード全開で。


あたしも銀に「可愛い」なんて言われたら嬉しくてたまらないだろうな。


でも銀と女の子たちのやりとりを見ていると胸がズキズキと痛み、あたしは教室の中に隠れた。