「人間見た目だけじゃないって。翔太は確かにカッコ良いけど、見た目だけで男判断するのはやめとけ。あ、でも翔太が悪い奴ってわけじゃないけどさ」


「うん………」


何故か男の子の言葉には妙な説得力があって。


『人間見た目だけじゃない』か。



納得したあたしは素直に頷いた。



「素直でよろしい」


そんなあたしの頭を満足げに撫でると、男の子は勢いよく立ち上がった。



「俺、山下銀。銀って呼んで?」


「あたしは、鈴木佐奈……――」


「知ってる。チョコありがとな。あと、あいつらのこと許してやって?ふざけてただけで悪気はないと思うから」


そう言うと銀はあたしの頭をポンッと一度だけ叩き、屋上の扉に向かって歩き出した。