「銀くん最近あの子と仲良いね。佐奈、銀くんのこと本当に諦めるの?」
「……うん」
あたしが頷くと、真理子はハァと小さく息を吐いた。
だって、銀には好きな女の子がいる。
それに明らかに銀狙いのレイラちゃんに勝てる気がしない。
二人が付き合っているならばなおさらだ。
「そっか。でも、自分の気持ちに正直になった方が良いよ」
「うん……」
自分の気持ちに……正直に……か。
真理子のアドバイスにあたしは小さく頷いた。
時間が解決してくれると思っていた銀への想い。
強がって銀と距離を置いてもあたしの気持ちは変わらなかった。
それどころか離れてからますます銀への想いが強くなっていった。
銀が好きで、大好きで。
だけど……今のあたしには、銀を目で追うことしか出来ないんだ。
「あ、てか次って体育じゃない?」
「ヤバ!そうだった!!!」
こんなところで涼んでいる暇はない。
あたしと真理子は急いで教室に戻り、ロッカーの中から体操着を取り出した。