「じゃあ今度あたしが先輩誘ったら一緒に帰ってもらえます?」


「その時になってみないと分からないけどな」


「……分かりました。じゃあ、また」


少し拗ねながらも、女の子は銀と真理子に頭を下げあたしを横目で睨むと体育館から出て行った。


なんか……明らかに敵対視されてると感じるのはあたしだけ……?


そんなモヤモヤとした気持ちを抱えていると、真理子は軽く舌打ちした後銀に話しかけた。


「銀くんってあの子と知り合いなの?ずいぶん親しそうだったけど」


「さっき突然話し掛けられただけ」


きっと真理子はあたしの心情を察し、代わりに質問してくれているんだろう。


「へぇ。でも銀くんって偉いね。あそこで断るとは思わなかった」


「普通断るだろ?佐奈に誘われたのは俺だけだし。それに佐奈だって知らない奴がいたら気遣うだろ?」


そう言うと、銀は同意を求めるようにあたしの顔を覗き込んだ。