「負けられないんだよ!…お前も、ぶっ殺す!」


右腕が斬撃を放つ。

適当にナイフを振り回すチンピラ共とは全く違う。


計算された、まるでマニュアルを見ているような感覚。


…しかし、殺せないほどの腕ではない。


そもそも、こいつは右腕がないのだ。そんな状況で、廃墟の王に挑むなど、無謀過ぎるのではないか。


桐堤梓の斬撃を捌きながら、どこから攻めるかを考える。


猛攻と言えども、隙はない。


…攻めるには難しい、と言うより面倒臭い戦い方だ。


最近の暗殺者が一撃で仕留め損ねたときは護身中心に戦いながら逃走する。だから彼らが身につけている戦法は五月蝿いくらいに面倒臭い、



紅蓮が言っていた。
…先に我慢出来なくなったほうの負けだ、とも。


こいつはきっと暗殺者だ。
それも、天性の。