「……桐堤紅蓮」




背後から声が聞こえ、思わず振り返った。



紅蓮は廃墟の王座に君臨していた。名前は有名ではないが、知っている人間は知っているに違いない。



それだけなら、この血だまりに、その声の主も転がしていただろう。



だが、


違った。



それは、ひどく聞き覚えのある声で。