「…は?いや、藤のことは庇っていらっしゃったでしょう。」

「そんなつもりはありません」

「でも」



そんなつもりはない。

ないのに無意識に庇っていた、ということか?



このとき、私の思案した顔を御簾の隙間から覗き見て荻様は怒り狂っていたなんて考えもしなかった。