三人ならば勝てる。

敏彦にはその自信があった。

夜の公園、神社、工事現場、海辺、誘い込む場所は色々ある。

そこで立ち合う。

―なんでもあり。真剣勝負だった。

父はそれ程大きくはない。

173cm程度だ。
体重は95kg位だろう。
岩のような筋肉だった。
自然に出来上がった筋肉―
そんな感じだった。

そしてとにかく強かった。

闘う父を、父の闘い方を龍太は覚えている。

骨が折れる音を聞いている

血の臭いを嗅いでいる。

絞め落とされて白目をむいている相手を見ている。

父と向かい合ったほとんどの人間は、5分もたずにうずくまっていた。