「タカ!タカの町ってどの辺りにあるの?」

「んーと、口で説明すんの難しいけど…まぁ山ん中やな。めっちゃ田舎やで!」

タカは鉄馬をフルスピードで飛ばしていく。




辺りは段々と登り下りが激しい道へと変わって行き、広々と広がる森や牧場地を越えていく。

タカが少しスピードを落とし始めた。

「ノゥン、見覚えあるか?お前が前に行こうとしとったアズートやで。」

タカがあごで示す先には木でできた家や、牛や羊の姿が見えた。

「あれがアズート?そっかぁ…こっちに帰って来たんだ。」

ノゥンはロゥナが近い事に少し懐かしさを感じていた。

「とりあえず、このままやったら日が暮れてまうから、今日はあそこに泊ろか!」

タカはアズートに向かって方向を変えた。

鉄馬をアズートの近くまで走らすと、森の茂みに降りて行った。

「とりあえず、鉄馬はこの辺に隠しとこか。」

タカは鉄馬から荷物を降ろす。

ノゥンは森を眺めながら呟いた。

「この森は…あのときの…」

ノゥンは自分がさらわれた事や、タカと出会ったときの事を思い出していた。

(僕が神官だった事や、売られそうになった事が…何だか遠い昔のようだ。)

「ノゥン!準備できたで。ボーッとしとらんと早よ行こ!」

タカが先に歩きだした。

ノゥンも遅れながらタカの後をついて行った。




一面に広がる牧草地や、木でできている町並みを見ているかぎり町というより村に近いように思えた。

タカがドンドンと村の中に入って行く。

突然の訪問者に村人達はざわめきだした。

ノゥンはそのざわめきを気にしながらもタカの後に続く。

「ねぇ…何か僕達すごい見られてるんだけど?」
「しゃーないわ!オレが格好良すぎなんや!!」

タカが笑いながら歩き続ける。

そして宿屋らしき建物を見つけると、

「ノゥン!ちょい話しつけてくるわ!!そこで待っててな!」

タカはスタスタと中に入ってしまった。

ノゥンが慌てて後を追おうとしたとき、

「ドンッ!!!」

何かがぶつかってきた。

よく見るとそれは小さなヤギだった。

「お兄ちゃん!そのままその子を捕まえてて!!」

小さな女の子が走って来た。