そして王女は静かに話始めた。

自分達が出会ったのはこの洞窟だったこと。そして魔族と人間の差を越えて愛してしまったこと。しかし、それを知った王は二人を許さずに王女を城に幽閉した。それでも王女はあきらめきれずに城を抜け出して、二人でこの場所で隠れていたこと…

詰りながら話す王女を優しく支えていた男は、

「我が魔力が半減されていたために、この場所で連れ戻そうとする彼女を守るしか出来なかったのだ…」

力なく言った。

「なんや可哀相やなぁー…でも、姫さん。あんたのせいで町は沈みきってんねんで?」

タカが言う言葉には王女も男も黙ってしまった。

「わかりました。姫、私はあなたを救えなかった…すでに貴方は死んでしまっていた。そう言うことにしましょう。」

ローレンは決心した強い瞳で言った。

「ローレン!そんなことをしたら君はこれまで以上に…」

「そうや!それこそ今度は町の奴等から罵倒されるだけでは済まんのやで!」

止めようとするノゥンとタカに、ローレンは首を振った。

「私は良いのです。姫が幸せならそれで…」

そんな言葉には二人とも何も言えなかった。

「ありがとう。ごめんなさい…」

王女はローレンに自分の首にかかっていた小さな指輪を差し出した。

「これが、我が国の王位継承者の証…これをお父様に…王にお渡しください。」

ローレンは頷くと指輪を大事そうにしまいこんだ。

「ありがとう、少年よ。君の勇気には感謝してもしきれない…せめて何か礼ができれば…」

男の言葉にローレンは

「私の願いはこの二人が図書館に入ることです。今のままだと町に入ることすらできないので…」
そう言ってノゥン達を見た。

「図書館に?何故?あそこなら普通に入ることが…」

「それは…僕が説明します。」

ノゥンが、王女の言葉に答えた。

そして自分達の今までの経緯を話した。

その話を聞いたローレンもノゥンが人間でないことには驚いたようだった。

「なるほど…人間になりたいと、…しかし少年よ。君は…多分人間にはなれない。」

話を聞いた男はノゥンに残念そうに言った。

「何でや!?ノスリーの図書館には戻る方法があるって!…」