「…無理だ!私にはメアリー…君を倒せない!!」

ローレンは頭を抱えるように座り込む。

すると今度は銃を構えていたタカが、銃をダランと降ろした。

「シン…お前とはよう喧嘩するけど、殺したいなんて思ったことない…。お前と闘うなんて…」

二人はすっかり闘う意欲を無くしてしまった。

そのとき、その光から矢のような物がノゥン達目掛けて飛んできた。

「タカ!ローレン!しっかりするんだ!」

ノゥンの呼び掛けも、二人にはまるで通じてないようだった。

ノゥンは二人の前に立つと、両手を突出し何かを念じた。

すると飛んできた矢はノゥンの前で弾き返された。

すると、どこからか声が聞こえてきた

「ほほう。我が術にかからんとはな。珍しい人間が来たものよ。」

その声が消えると、さらに矢が無数に飛んできた。

「くっ…二人を守るだけで精一杯だ。タカ!!!ローレン!!!お願いだ!目を覚ましてくれ!」

ノゥンの必死の叫びの中、スカーレットがタカ目掛けて飛び出した。

そして、体を真っ赤にしてタカの鼻にしがみついた。

「アッチーーー!!!」

タカが慌てて鼻を抑えた。目は正気に戻っているようだ。

「すまん!ノゥン!任せっきりやったな!今度はオレの出番や!」

そう言って、タカは光に向かって銃を2、3発放った。

「パリーン!ガシャーン!!!」

光は音とともに砕け散った。

そして辺りは元の洞窟に戻り、光のあった場所には大きな鏡のようなものが砕けていた。

「ふぅー。何とか倒したみたいやな。」

タカが安心して気を緩めた瞬間、

「危ないっ!!!」

ローレンが剣で枠だけ残った鏡を叩き切った。

すると、鏡からは黒いモヤが吹き出した。

「今のは?」

ノゥンがローレンに尋ねた。

「今のは毒ガスのようなものです。あのままタカさんが近寄っていたら大変でした。」

ローレンは額の汗を拭った。

「そうやったんか…すまん、助かったわローレン。…これでやっと姫さんを助けれるな。」

タカがニッコリ笑いながらローレンを叩いたときだった。

「キャーーー!!!」

奥から女の悲鳴が聞こえた。