三人は北の山へと向かった。

雪は段々降り積もり、辺りは何処までも真っ白だった。

ノゥン達は順調に山を登っていた。

「思ったより楽やな。もっと行きにくいんかと思ってたわ。」

タカがそう言うとローレンが、

「この山は昔鉱山としてノスリーの人々に重宝されてきたらしいのです。だから人間が登りやすいように整備されているのです。しかし、鉱石が取れなくなると人々は山を捨てました。すると今度はそこに魔物が住み始めたのです…。」

重々しく答えた。さらに山を登るにつれてローレンの顔はさらに強張ってくる。

三人は黙々と山を登る。

途中、道が雪で埋もれていたりしたがどうにか目的の洞窟までたどり着いた。

「ここが…洞窟。この中に姫がいるんだね。」

ノゥンは大きく口を開けている洞窟を見つめた。

「さっさと姫さん取り返してー図書館や!」

タカは肩をコキコキ鳴らしながら言った。

ローレンは黙ったままゴクッと唾を飲み込んだ。

三人は意を決して中へと入って行った。

「真っ暗やなぁー…明かりはっと…」

タカが火をつけようとすると、ノゥンが手のひらを差し出した。

「ボォッ!」

ノゥンの手のひらから出た炎が辺りを照らす。

「すごいなぁ!魔法って…オレも使えたら便利やろなぁ…」

タカが感心したように言う。

三人はさらに奥へと進んで行く。

洞窟の中は思ったよりも人工的で、魔物の影すら見えなかった。

「ほんまに魔物なんておるん?何も出てこんけど…」

タカがそう言ったとき、ノゥンの肩にいたスカーレットが突然震え出した。

「どうしたんだ?スカーレット?」

ノゥンが心配そうに話し掛ける。

「ノゥン様!!!来ました!奴です!」

ローレンの叫びと共に、奥から生暖かい風が吹いたと思うと、突然辺りが真っ暗になった。

しかし、何故かノゥン達は暗闇の中浮かび上がっている。

すると目の前で別の光が浮かび上がった。

ノゥンは一瞬眩しさに目がくらんだが、何とか目を凝らして見た。

(なんだ…あれは…?)

ノゥンがその物体に気を取られていると、いきなり横にいたローレンが後ずさった。