「ところでじいさん、オレの欲しいもん…あるか?」

タカが言うと、老人は横にあった袋の中から何かを取り出した。

「お前さんが欲しいのは、親友の為の工具だろう?」

タカは老人から銀色のスパナを受け取った。

「そうそう!やっぱあると思ってた!…前のはだいぶボロボロやったからな~」


タカは嬉しそうにスパナを眺めていると、老人はさらに奥からガラス玉のようなものを取り出した。

「こいつは元々お前さんの物だ。受け取りなさい…若きトランスハンターよ。」

タカはビックリして老人を見た。

するとそのとき突然突風が吹き荒れ、ノゥンもタカも怯んだ。

二人が目を開けたときには、老人どころか露店が跡形もなく消えていた。

「何だったんだ…?あの老人は?店は?」

一瞬夢かと思ったノゥンだったが、手の中にはスカーレットがニコニコと笑っいながら座っていた。

また困惑するノゥンだったが、タカが

「じいさん消えてもた…ってことは代金いらず?ラッキィ!」

と無邪気に喜んでいるのを見て、ノゥンも少し気が抜けた。

「タカ、ひとまず宿屋に行こう。ローレンを待たせ過ぎだ。」

「せやな、だいぶ周り道してもたしな!よっしゃー次は山登りやぁ!」

二人は来た道を戻って行った。




二人が約束していた宿屋に着くと、奥の席でローレンが待っていた。

「お帰りなさい、どうでした?準備は整いましたか?」

ローレンは二人の格好が変わってないことに、少し戸惑いを感じていた。

「防寒具は品切れでなかったんだけど、変りにこの子が僕達を助けてくれる。」

そう言って、ノゥンの肩に座っている妖精を見せた。

「妖精…ですか?この辺じゃ滅多に見ないですね。…よろしく。」

ローレンが人差し指を妖精に出したが、妖精は首の後ろに隠れてしまった。

「あはは!気にすることないで!ローレン。こいつはノゥン以外には懐いてくれんから。」

肩を落とすローレンにタカは笑いながら背中を叩いた。

「とにかく、これで準備が整ったんだ。早速山へ行こう!ローレン、道案内を頼むよ。」