「んで?ローレン、そのさらわれた姫ってのはどこにおるん?」

「ここからさらに北に行った洞窟の中です。」

と、ローレンはノゥンから地図を借りて場所を示した。

「これだったら、鉄馬ですぐだよね。」

ノゥンがタカに笑いかけると、タカは首を振った。

「ノゥン、鉄馬は2人までが限度や。3人は乗れへんねん。」

「じゃあ、地道に歩いて行くしかないのか…。」

ノゥンは落胆した表情だったがすぐに何か思い当たったようで、ローレンに聞いた。

「君はさっき“姫を目の前にして”って言ったよね?一体こんな山奥に何がいるの?」

ローレンは少し震えながら答えた。

「わからないのです。アレは姿を変える…自分が一番戦えない者の姿に変わるのです。私が戦ったのは、まだ幼い妹でした。敵だとわかっていても、どうしても戦うことができなかった…。」

一言一言つまりながら言うローレンに、ノゥン達も同情した。

「オレの戦えへん相手って…誰やろ?やっぱ…シンかなぁ…」

タカはふと呟いた。

ノゥンも考えてみる。

(僕の戦えない相手?誰だろう?…タカやシンなんだろうか?)

3人は黙ってしまったが、それを振り払うかのようにタカが立ち上がる。

「うじうじ考えててもしゃーない!とりあえず行動あるのみや!さっさとそいつ倒して、お姫さん助けて、図書館行こっ!」

元気付けるタカにノゥンも頷く。

ローレンはまた涙を浮かべながら、

「ありがとうございます!お二人が居てくれると心強いです。」

と、二人の手を硬く握りしめた。

ノゥン達はカフェを出ると外では雪が降り始めていた。

「こらあかん!いくら厚着したからゆうても、これは雪用じゃないからなぁ…ノゥン、とりあえず装備整えんと山なんか登れんで。」

タカは雪に見とれているノゥンに言った。

するとローレンが、

「それでは私はお二人の準備が整うまで…あそこの宿屋で待っています。」

そう言って、角に建っている平べったい建物を指差した。

「うん、わかった。それじゃあまた後で!」

ノゥンとタカは手を降りながら、町の中心部へと向かって行った。