「やんなぁ。あぁ~上着に身分証入れてたんを忘れとった…」

タカが悔しそうに頭を抱える。

「最初からおかしいかったもんね。突然の僕達をすぐに迎えいれたこと。勧められたコーヒーを飲んだら眠くなったこと。後…違和感に感じてたのは、一人暮らしなのに何故、ベットが二つあったのかってこと。…きっと最初から親切を装って、旅人を狙っていたんだね。」

ノゥンも深いため息をつきながら言った。

そんな様子を見ていたローレンは少し驚いたようだった。

「ノゥン様、だいぶ雰囲気が変わられましたね…。前に会ったときには、とても神秘的で大人びた感じだったのに…今は、何て言うのか…“男の子”って感じですね。」

そう言ったローレンにタカは

「当たり前や!オレが直したったんやからな!17であんな感じは偉そすぎるやろ!」

あははと笑いながら言った。ノゥンも

「タカに言われてって言うのもあるけど、自分が変りたいって思ったんだ。…神官という立場から、ただの人間に…」

と、言いかけたが途中で口をつぐんだ。

タカは慌てて、

「まっ、オレみたいなえぇ男になるにはまだまだやけどな!」

と言って、ノゥンの肩を叩いた。