「何や!お前ら!何でそんなこと聞くねん!?」

タカは食って掛かるように男達に言った。

「我々はこのノスリーの城下警備隊GADだ!最近怪しい奴が増えたのでな、旅行者には尋問させてもらっている。」

男はいくらか声を和らげながら言った。

「ほぉーん、警備隊ねぇ…普通オレらが町に入る前に止めるだろ。」

やれやれと言った感じで男を見つめ返すタカ。

「ゴホン!まぁ、とにかく身分証の提示を求める。話はそれからだ。」
タカはまたやれやれといった感じで、上着のポケットを探る。

しかし、少しタカの顔色が変わった。

ポケットを何回も触り、最後には上着を脱いで、ボケットというポケットをひっくり返した。

「どうしたのタカ?…まさか…ないの?」

心配そうに尋ねるノゥンにタカは、

「ノゥン!お前の上着に入ってんか?」

と慌てながら聞き返した。

ノゥンも必死になって探すが、見当たらない。

「まさか…あの主人!」

二人は顔を見合わせ、同じことを考えていた。

親切な男の裏は盗人だったのだ。

「どうした?早く身分証を出しなさい。まさか…不法入国か?」

警備隊の顔つきが変わった。今にも捕まえられそうな雰囲気が漂う。

「ノゥン!とりあえずここは戦闘やな!こんなとこで捕まっとう場合やない!」

背中の銃に手を伸ばそうとするタカに、ノゥンは

「駄目だ!タカ!こんな町中で撃ったら他の人にも当たってしまう!」

必死でタカをなだめながら銃から手を引き離す。
警備隊とノゥン隊の間に一触即発の空気が漂っていた。

「やめてくれっ!!!」

一人の男が間に割って入ってきた。

「隊長、この人達は私の連れです。どうかお見逃しを!…」

男は深く頭を下げる。

「何だ?臆病者のお前の連れだと?ふん!なら安心だな。町を襲う勇気もないだろうからなっ!」

隊長はペッ!とつばを吐き捨ててその場を立ち去った。

「何なんやアイツら…すまんかったな。オレらの為に…えっとーでも誰やお前?」

タカは不思議そうに顔を覗き込む。

男は目に涙を浮かべながら

「…ノゥン様!ノゥン様ですよね?少しお姿が変わられても、そのグリーンの瞳はノゥン様です。」