タカはあまり気にしてないようだった。

ノゥンもそれ以上は何も言わず、また昨日と同じようにノスリーまでの道を地図で確認した。

鉄馬は順調に進み、段々と辺りの景色が変わってきた。

「タカ!見て!山が白い!」

ノゥンは遠くに連なる山々が真っ白いことに驚いていた。

「なんやノゥン?雪を知らんのか?あれは雪ってゆうて、まぁー簡単にゆうたら空から振る氷って感じやな。」

タカは山をチラリと見て、何かを見つけようとしながらノゥンに言った。

「雪…かぁ…。」

ノゥンは段々寒さがましてくる周りに少し寂しさを感じながら、ポツリと呟いた。

「ノゥン!やっと見えて来たで!ノスリー国シンボル“蒼天の城”や!もう、すぐに着くで。」

少し小高くなっている丘を越えたときにタカはノゥンに言った。

目の前には山々の間に六角形状の城壁に囲まれた町と、その中央に蒼い城が雪を被り幻想的な姿でそびえていた。

タカはキョロキョロと辺りを見渡し、町の近くの小さな崖のようなところに鉄馬を止めた。

「とりあえず鉄馬は隠しとかなな。こっからは歩きや。…それにしても…寒いなぁ!」

タカは体をさすりながら、必要な荷物を降ろした。

ノゥンも手伝いながら、辺りに広がる雪に見とれていた。

「さぁ、行こかぁー。」

タカが少し足早に歩き出した。

ノゥンも慌ててついて行く。

そんな二人を影から見つめる男がいた。




数十分程でノゥン達は町に着いた。

町は石造りの建物が多く、行き交う人々は少し猫背気味で、みんなほとんど無表情だった。

「何か暗い町やなぁー」

タカがつまらなさそうに言った。

「本当だね。みんな暗い感じがするね。」

ノゥンも辺りを見回しながら言った。

「とりあえず図書館や。こんなだけ広い街やからなぁ~…どこにあるんやろ?」

タカは目の前の沢山の建物を見て途方に暮れていた。

そのときだった。

「ピピーーー!」

笛の音とともに青と白の服に身を包んだ男達が数人走ってきた。

「お前ら、どこから来た?名前は?この町に来た目的は?」

その中の一人の髭を生やした男が詰め寄って聞いて来た。