「ほらっ、ご主人もそうゆーてくれてるし。」

タカはもう泊る気だった。

ノゥンは遠慮しながらも、

「すいません。それじゃお言葉に甘えさしてもらいます。」

と、遠慮がちに男に言った。

「えぇ!どうぞ、狭いですがゆっくりしてってください。」

男はそう言って奥へと消えた。

「タカ…何か親切すぎない?」

ノゥンは男の態度に引っ掛かっていた。

「ん~まぁ、ちょっとな…。でも、荷物は鉄馬と一緒に隠したし、大丈夫やろっ!」

タカはふわぁーとあくびをしながらノゥンに言った。

「それよりオレ眠くなってったわ。」

目をこすり、眠そうなタカに

「そうだね。僕もなんだか眠たいよ。」

ノゥンもトロンとしながら答えた。

「お二方ともお疲れですか?どうぞ奥にベットを用意したのでお休みください。」

二人は男に言われるがままに奥の部屋へと進む。

部屋はお世辞にも綺麗とは言えないが、よく手入れされている感じのベットが二つあった。

「んなノゥン…おやすみ~。」

タカはベットに着くや、すぐに寝てしまった。

ノゥンはその部屋に何か違和感を感じながらも、眠さに耐えきれずに寝てしまった。

外はまだ雨が降り続いていた。




翌朝、ノゥン達は眩しい朝日と部屋に入ってきた爽やかな風で目が覚めた。

二人はまだ少し寝ぼけながら、暖炉の部屋へと入って行った。

「おはようございます。どうですか?よく眠れましたか?」

男は朝食の準備をしながら、ニコニコと話掛けてきた。

「あ…はい。おかげさまで。」

かなりグッスリ寝てしまったノゥンは遠慮がちに答える。

「さぁ、ちょうど今パンが焼けたところです。どうぞ、食べてください。」

ノゥンが返事をする前にタカはもう席についていた。

二人は男が作った朝食を食べ、身だしなみを整え、ノスリーに向けて出発をした。

「道中お気をつけて!」

男は最後までニコニコと手を振っていた。

再び鉄馬に乗ったノゥンは、昨日感じた違和感を考えていた。

「ねぇ…タカ。あのご主人、やっぱりおかしいよ。」

不安そうに言うノゥンにタカは、

「だいじょーぶやって!別に変なことしとうようには見えんかったし。」