「ゆーう、頭にゴミ付いてる」


彼は私の頭を指差しながらそう言う。

私は慌てて自分の頭を触った。
「どこどこ?」


その私の必死そうな表情を見て、陽太は眼を細めて笑みを零した
「うっそー! 頭にゴミなんか付いてませーんッ♪」

陽太の陽気な声が、騒がしいクラス内で響いた。
私は眉を顰め、陽太の襟首を掴む。

「何嘘吐いちゃってんのよ。
あんたほんとーに、オオカミ少年ね。一日五回は嘘吐いてるじゃない」

襟首を掴まれ、陽太は少し苦しそうな表情をしつつも
微笑を浮かべた。

「いいじゃん、いいじゃん
笑える嘘なんだからさっ♪」

「よくない」
「いいじゃーん、そんな怒るなって。
スマイル、スマイル?」


陽太は私を落ち着かせるように
笑みを零したが
私の怒りを抑えることは出来なかったようで


「ぎゃふうっ!」


陽太の鳩尾に私の拳が入った。