思わぬことで気付いた、自分と他の子との違いにひかるは戸惑いを隠しきれなかった。

「ひかる、何か言った?」
「ん?どうかした?」
「あ…いや、なんでもないよ」

明らかに様子のおかしいひかるに、2人は首を傾げる。

「なんか顔色悪いよ〜?」

心配そうな声を出す裕美に、ひかるは心配をかけたくなくて笑顔でえへへと頭をかく。

「ちょっと朝動きすぎちゃったかなっ?」
「何、今日の敵は手強かったの?」
「んー、そうでもないけどね」
「なんだそれっ」

にっこり笑いつつも、気になることは頭から離れてくれない。
ひかるは、とりあえず保健室に行く、と断った。




教室を出て1階の保健室に行くために階段を降りていると、廊下で話をしている男女が目に留まった。

男子も女子もにこやかで、笑ってて…楽しそうだった。


ひかるは、目が離せなかった。

…あんな風に話したのなんて、小学生の頃以来…ないかな?
と、ぼんやり思い返していた。

ひかるが武道を始めたのは小学5年生の頃だった。
4年までは、他の子と対して変わらなかった。
だけど武道を始めてから武道に夢中になっていって、他の子と話してても話についていけなくなったり、周りの子が武道の話についていけなくなったり…。
そうしているうちに、だんだんと周りから恐れられるようになってきて…、現在。


…まぁ、別に興味もなかったけどさ。

ハハッ、と嘲笑って自分を励ますように男女から目をそらす。



…でも。
それでも仲良くしてくれた子も…いたんだけどなあ。

腕を組んで考え込むように眉間にしわを寄せた。
名前、なんて言ったかなぁ、と唸っていると気を抜いていたせいか、階段を登ってくる誰かにぶつかって足を踏み外してしまった。