「何よ、話題性って…」

不貞腐れたような表情で目を細めるひかる。

「まぁまぁ、ひかる…」
「そんなことより!!今日はもっとビッグニュースがあるのよ!」
「って、あたしのことはそんなこと扱い〜?!」
「ひかるはいつものことでしょっ」

ぶーっと頬を膨らますひかるをそっちのけで、沙羅は興奮している。

「何?沙羅が興奮してると怖い」
「こらっ、ひかるちゃん」
「なんか転入生が来るらしいの〜」
「へー」
「リアクション薄っ!もっとなんか食い付くとこないのっ?!」
「え;何?その質問」

転入生に全く興味を示さないひかるに、沙羅の興奮は増した。

「だ〜か〜ら〜!他に食い付くとこあるでしょ、女子高生〜!」
「えーっ…。えっと…なんでこんな中途半端な時期「違ーうっ!!」
「じゃー何…、あぁーっ!わかった!転入生が武道経験者なのねっ」

キラキラと目を輝かせるひかるに沙羅は怒る気も失せ、ため息を吐いた。

「沙羅…ひかるにはわかんないと思う…」

2人のやりとりを見兼ねた裕美が間に割って入った。

「はぁー…ほんとにひかるは女子高生なのか疑わしいわ」
「あ、沙羅ひどいっ!」
「沙羅が言いたいのはね?」
「転入生が男!ってことよっ」
「…うん、で?彼は何やってたの?柔道?空手?少林寺?」

「ほんとにこの女はーっ!」
「え?え?何、何?」


ひかるは男に興味がない。
…というより、男に興味を持ってる暇がない。
いつも武道のことで頭がいっぱいで、武道一筋の女の子。
だから普通の女の子と反応が違うのだ。


「転入生が武道経験者かなんてわかんないわよ」
「え、何よ、それ。じゃあ別に食い付くとこなんて…」
「ひかるってさ、恋とかしたことあんの?」

沙羅はひかるの言葉を遮った。

「な、何よ、いきなり」
「いいから、答えて!」
「そ、そりゃあ…あるわよ」
「えぇ?ほんとに?」
「嘘付いてんじゃないでしょうねー?」
「ほ、ほんとだってば」

なんてほんとは恋なんてわからない。
だけど、さすがに自分がズレてるってわかってるひかるだから、ついついこう答えてしまう癖がついてしまった。
本当は好きって気持ちさえ、わからないのに…。