「今日もやってるね、鳴海」
「やっぱ強ぇよなぁ…」
「ていうか、むしろ怖ぇよ…」

ひかるの武道の技に怯えあがって近寄ることすらしなかった。

いや、ここにいる男子だけではない。
ひかるを知っている男子はひかるに近づこうともしない。
男子の間では、こんな噂をされているのだ。

“顔は可愛いけど、中身は…。”

“近付いたら我が身が…。”

だから近寄ろうともしないのだ。
ひかるはまさに、無敵少女だった。







そんなことを囁かれているとは夢にも思わないひかる。

…ん〜、やっぱり舌出したのはやりすぎだったかな。きもい
と、先程の自分の行動を思い出しながら2年C組の扉を勢いよく開けていた。

「おはよう、ひかる」
「今日もやらかしたんだって?」

ひかるが教室に現れると、
おっちょこちょいの澤村裕美と
いたずら好きの夏目沙羅が声をかけてきた。
3人はいつも一緒にいる。


「おはよう。…って、もう知ってるの?」
「あったり前でしょ!ひかるの情報は回るの早いんだよね」

沙羅は自慢気に鼻を膨らます。

「沙羅が威張ることじゃないと思うよ〜?」
「んなっ…!」

裕美がクスクスと笑う。

「でもなぁ…あんまり嬉しくないや」
「そりゃ、嬉しい人なんていないでしょっ」
「だよね〜〜。なんでこんなになっちゃうんだろう〜」

頭を悩ませるひかるを見て、
そりゃこんなに話題性たっぷりのひかるだもん!と2人が突っ込んだのは言うまでもない。