長かったホームルームが終わって1時間目が始まるまでの極短い休み時間、
あっという間にひかるの隣の席は女子で囲まれた。


「すっごい人気ねー」

女子の塊を見て沙羅がボソッとこぼした。

「私もちょっと喋ってみたかったんだけどな〜」
「へっへ〜ん♪沙羅はもう喋ったもんね」
「…どっこがいいんだか」
「「?!」」


蒼の話で盛り上がる2人の会話にため息混じりのひかるの言葉が割って入った。

「どしたの、ひかる」
「みんなの好みがよくわかんないの。とにかくあたしはパスッ」


ひらひらと手を振りツンとした表情のひかる。
何か言いたげな沙羅と裕美だったが、2人が何か言う前に、女子の集まっている隣の席から蒼の声が聞こえた。


「ひかる、次の授業、教科書見せて」

ひかるは唖然とした。

「あ、…邪魔」

蒼は集まった女子に目もくれずひかるに話し掛けている上に、周りの女子を邪魔扱い。

…空気読めないにも程があるでしょ

ひかるは顔が青ざめていくのを感じていた。