蒼がひかるの隣に座るのを確認して、
先生はホームルームを始めた。


それと同時に、ひかるの前に座る沙羅がくるっと後ろを向いてひかるに笑いかけると蒼の方を向いて自己紹介をした。




「夏目沙羅です。蒼くん、よろしくね」

にこやかな沙羅に比べて蒼は特に表情も浮かべなかったけれど、

「…よろしく」

とだけ言っていた。


沙羅は蒼の態度を気にする様子もなく、またちょっと笑うと楽しそうに口を開く。

「ひかる、こんなんだけど面倒見てあげてよねっ」


それを聞いてひかるはこれでもかと目を見開く。


「ちょ、何言ってんの?沙羅?」
「鳴海ー、うるさいぞー」

驚きのあまり、ついつい大きな声を出してしまったひかる。
それを見てクスクス笑う沙羅。


…遊んでるっ!!

ひかるは口を尖らせてフンとでも言わんばかりに顔を反らせた。




その一部始終を見ていた蒼は
沙羅の言葉に遅れながらも返事を返した。

「…わかった。俺が面倒見てあげるよ、…ひかる」


「!?」

ひかるはせっかく反らせた顔をすぐに蒼に向けてしまった。