だけど、空気の読めない先生は
ひかると転入生が知り合いだと
思ったまま話を進める。


「よぉし、じゃあ話は早いな。お前の席は鳴海の隣だ」
「はぁぁっ?!」
「なんだ、鳴海?杉原は転入してきたばかりなんだから知り合いの近くがいいだろ?」


最もなことを言っているが
問題はそこではない。
ひかると彼は知り合いなんて呼べるものではなかった。


「だから、そういう意味じゃ…」


ひかるが反論しようとすると
先生はそれを遮って彼に話を戻した。

「そういえば自己紹介まだだったな。杉原、頼むぞっ」




…だめだ、聞いちゃいない。

ひかるはがっくりと机にうなだれた。


そんなひかるを無視して
興奮気味の沙羅は肘でこづく。

「この〜。あんなかっこいい彼と知り合いだなんて。ひかるも隅に置けないわね〜」



だから、違うよ…。

ひかるが沙羅に呆れたような視線を送っていると、
壇上で彼の自己紹介が始まった。