「彼女、可愛いね〜」
「俺らと遊ばない?」

「…ごめんなさい、学校があるんで」

「学校なんていいじゃん?」
「ちょっとだけだからさぁ」

「いや、あの…」

「ね?いいでしょ?(ガシッ


可愛らしい女子生徒に伸びる、汚いナンパ男の手を、白く細い指が制した。

ナンパ男は顔を横へスライドさせてその腕の先を見る。


「なんだよ、姉ちゃん?」


男の手を制したのは、女の子だった。

「やめてください。この子嫌がってるじゃないですか」

絡まれてる女子生徒と同じ制服を着ている彼女は、綺麗な笑顔で物怖じせずきっぱりとそう言う。
そして男を制した手の方は…、

「いってててて」
「お、おいっ。てめ、何しやがんだ」

「あ、ごめんなさい。ついつい手に力入っちゃった」

痛がる男の手をパッと離してペロッと舌を出す。

「てめ…っ」
「まぁ、待て。面白い姉ちゃんだな。それにこんなに美人な女はなかなかいねぇ。」

頭に血を上らせる男を差し置いて男は続けた。

「こういうのはどうだ?姉ちゃんが代わりに相手してくれるなら…この子は諦める。」


「いいよ?」

そう答えるなり、彼女は構えて長い足を高らかと上げた。


ヒュッ…ドスッ

…ドサッ


高く上がった足は男の顔面を捕えた。


隣にいた男は顔色を変える。

「おい、姉ちゃん!何しやがるんだ」

「え?相手って言ったから…」

「その相手じゃねぇよ。…たく、なめた真似しやがって!女だからって調子に乗るんじゃねぇ」

ビュッと殴りかかってきた男を彼女はヒラリと交わして、みぞおちに思い切り拳を叩きつけた。

ゴスッ…ドサッ


「ふんっ…そっちこそなめんなっての」

彼女はサッと身なりを整えると、すぐ隣で怯えていた女子生徒に近寄った。