「私達の場合、着替えるためには生徒が来ない場所でこっそり着替えなくてはいけません。そのため、時間も掛かります」

 驚くわたし達に、寿先輩は説明し始める。

「だから今のうちから着替えておかないと授業に間に合いません。だから着替えに戻るんです」

 そう言って寿先輩は、有無を言わせないような強い視線で流依を射抜いた。



 それでも流依は納得いかないようで、たじろぎながらも反論する。

「授業より、小都子の方が大事だ!」


 そう叫んだ流依に、寿先輩は目を細め低音で告げる。

「流依、貴方はフラワーの自覚が足りないようですね」

 隣で聞いていたわたしは、そんな寿先輩を少し怖く感じた。


 でもそれはその瞬間だけで、すぐにいつもの優しい雰囲気に戻る。