「いえ、だからわたしは大丈夫だと――」

 ピーンポーンパーンポーン


 引きつりそうになりながらも何とか断ろうとしたとき、突然校内放送を知らせる音が鳴り響いた。


『1-Aの桂 小都子さん、呉羽先生がお呼びです。至急保健室までいらしてください。……繰り返します――』


 途端、血の気が引いたような気分になる。


 怖い……。

 でも行かなくちゃ……。


「アイリス様? やっぱり顔色が悪いです。丁度良いですし、呉羽先生に診ていただいてください」

「ええ、そうね……」


 自分でも弱々しいと感じる微笑みを返した。

 心配させるわけにもいかないけれど、今は満面の笑みなんか出来そうにない。


 そうしてわたしは幾人かの心配そうな視線を浴びながら保健室へと向かった。