「でもさ、そんな男泣かせのお前でも、俺は泣かせられないよな?」

 そう言った流依は、腕の力を緩めわたしの顔を覗き込んできた。

 何が言いたいのか良く分からなくて、不思議そうに見返す。


 そんなわたしに流依は柔らかい笑顔を向けた。


「お前は、俺を想ってくれるんだろ? だったら、俺が泣く理由がない」

「流依……」


 確かに、と思う。

 先輩達は泣かせてしまうのかも知れないけど、流依は笑顔にしてあげられる。

 先輩達を思うと申し訳なくて、でも流依を思うと嬉しくて、わたしは困ったように笑った。



「……時間もたってしまったし、お前の告白もちゃんと受け止めれてないから仕切り直そう」

 急に真面目な顔になった流依は、わたしを包み込んだままでいつかの言葉を口にする。