流依の意地悪……。


「またそんな風に言って……からかわないでよ」

 そう拗ねた表情を見せると、流依は楽しそうにニッと笑う。

 足を止め、わたしを抱き寄せた。


「っ!?」

 予想してなかった流依の行動に、一気に顔に熱が集まる。


 流依の肩の向こうで、先輩達が気付かず先に進んでいく。


「る、流依!?」

「悪い。お前見てるといじめたくなって来るんだ。……可愛くて」

「っ!!??」


 耳元で囁かれた言葉に、顔の熱の温度が更に増す。


 何か言いたいと思うのに、喉の辺りで詰まって声が出てこない。