「小都子、行くぞ?」

 見ると、そこには男らしく力強い笑顔があった。


 わたしは当然のようにその手を掴み、慣れた体温に安心する。

「うん」

 と笑顔で返事をすると、力強い腕に引かれた。

 そして手を繋ぎながらわたし達も優姫先輩の後を追う。



 女のわたしとは違う節ばった手。

 いつもわたしに安心を与えてくれる温度。

 そして、わたしの鼓動をゆっくり早めさせるその力強さ……。



 今も鼓動が少しずつ早くなっている。

 これは、この苦しさは山道を歩いている所為じゃない。


 流依に手を握られているからだ……。