「……はい……」

　その一言を答えただけで、案の定和子先輩は消沈した。


　酷かとは思いつつ、わたしは和子先輩が納得してくれるように言葉を続ける。


「和子先輩も、他の先輩達も……流依も好きなんです。……でも違う……。想っただけで胸が苦しくなるのも、側にいるだけで幸せを感じられるのも、流依だけなんです」

「分かった……」

「え？」

　はっきり言わなくちゃいけないと思っていたから驚いた。

　それに、諦めの言葉が早い。


　もっと粘ってくると思ってたのに……。



　和子先輩は顔を伏せているから表情が分からない。

　わたしはどんな返事が返ってくるのか緊張した面持ちで待った。



「もう……いいよ……。僕が……入り込む余地……ないの……分かったから……」


　いつにも増してゆっくりな口調。
　声だけでその辛さが伝わってくるような、そんな声色。