男の人に『可愛い』は褒め言葉じゃないんだった。
わたしは誤魔化すように慌てて言い募る。
「ああ! いえ、それは言葉のあやと言いますか……。と、とにかく! 他にも言葉では言い表せないくらい和子先輩のことが好きなんです」
「……」
そこまでわたしの言葉を聞いた和子先輩は、スゥッと目蓋を伏せ、寂しそうな顔になった。
長い睫毛の影が頬へと落ちる。
「……それでも……僕を選んでは、くれないんだね……」
諦めの混じった言葉。
それでもどこか諦めたくないと思っている口調。
そんな和子先輩を見て、わたしは胸が締め付けられて……辛かった。
でも、言わなくちゃいけない。
和子先輩の顔が更に悲しげなものになるのだとしても……。