その存在を思うだけで涙が出てきそうになる。

 心が求めていると感じる……。



 だから、違う……。

 和子先輩……ごめんなさい。

 やっぱりわたしは――。



「小都子」


 いつの間にか空になった器を見つめながらうつむいていたわたしに、和子先輩が静かに声を掛けた。


「あ、はい」

 自分の考えに耽っていたわたしは少し驚いて顔を上げる。



 そして、真剣で真っ直ぐな目と視線がぶつかる。



 真剣な目をしているときの和子先輩はいつもより凛々しくて、男の人なんだと再確認させられた。


 そしてその口から、低くて透明な男の声を出す。