「そうですよ。蛍は綺麗な水辺に生息しますから」

 答えてくれる声は、いつもと変わらぬ優しい声。


 その優しさにつられるように、わたしは寿先輩に視線を移す。



 幻想的な光の中で優しく微笑みながら佇む寿先輩は、普段の和子先輩よりも神秘的に見えた。

 わたしに近付き、頭に触れるその仕草も優雅と思えるほどに……。



「髪に蛍がくっついてますよ」

 そう言ってわたしの頭から離れていった手には、ゆっくりと光を点滅させている蛍が乗っていた。


「蛍にまで好かれるほど、小都子さんは魅力的なんでしょうね」

「そ、そんなことないです」


 甘くてとろけるような微笑みで言われ、わたしは頬を染めながら顔をうつむかせる。

 直視していられない。