「それ、そんなこと佳代先輩も言ってた。」



霧子の話を聞いてリカは
2ヶ月前の『佳代先輩』の事件を思い出した。



「佳代先輩は体は大した事無いからいいって言ってたけど

でも、倒れた後の記憶が無いって。」



帯斗はリカの言葉を無視し
黙って、
霧子の顔を見ていた。



そして、多分本人が一番気にしているであろう言葉を切り出した。



「血の着いたナイフ。」



帯斗が言った言葉に、
霧子は顔を上げ驚いた。



リカは息を飲んで見守った。



「・・・知ってるの。ナイフの事?」



霧子が帯斗に弱々しい口調で答えた。



「ごっ。ゴメン、霧子。
あたしが見ちゃったの、
控え室で
偶然バックが空いてたから・・」



リカが霧子に言い訳をした。




「記憶。まだ残ってるよね。そん時の。」



帯斗は冷静な目で霧子に問いかけた。