「私。・・・」



佐和田霧子は話だしたかと思うと直ぐに
息を荒立た。



「私。・・・人を・・」



霧子がそう言いかけた時



「これから言うこと信じるか、信じないかは自由だけど。」



帯斗が霧子の話をさえぎった。



霧子が冷静に話せ無い事を察した帯斗は
次に突拍子も無いことを口にする。



「暗黒物質って知ってる?」



暗黒物質?



突然の帯斗の言葉に、二人とも首を傾げた。



「まあ。知らないよな。

暗黒物質。
これって学会何かでは有名で、宇宙物理学では
『ダークマター』って呼ばれている。」



リカも霧子も、
突然の話で何が何だかさっぱりだったが、
帯斗がめずらしくちゃんと人と話をしている事に
リカはひとまず安心した。



帯斗は口早につづけた。



「この暗黒物質。

こいつが中々悪い奴で、生きてる人間に干渉してくる。」



帯斗は先ほどの態度とは、うってかわり霧子の目をしっかりと見ていた。



そして



「いいかい。何があったにしろ」



帯斗は霧子に力強く言った。



「君は悪くない。」



帯斗の言葉は相変わらず意味不明で全く理解不可能だったが。



帯斗の『君は悪くない』と言う言葉がいままでの不安感を全て取り除いてくれる気がした。



そして霧子の目に今度は
『自然な涙』がこぼれだした。