他の方法はたくさんあったのかもしれない。


だが、俺は「瑠璃に会って話をしたい」という選択肢を選んだ。


瑠璃に拒否される確率は高いが、それは承知の上だった。


まず 瑠璃と会っておきたい。

まだ停学処分の身だから学校に入ることはできない。


俺は深呼吸してゆっくりと瑠璃の家のインターフォンを押した。



「どちら様…でしょうか?」


おばさんの声がした。

瑠璃はきっと部屋にこもっているのだろう。2階の開いた窓から瑠璃の好きな歌手の歌が聞こえてくる。


「こんばんは…純です。瑠璃に話があって来ました。」


俺は会ってくれることを祈りながらインターフォンに目をやる。


「あっ純君…ごめんなさいね。瑠璃誰とも話したくないみたいなのよ。だから…ごめんなさいね。」

ぷつりと切れてしまった。



再び視線を瑠璃の部屋ね窓にやると窓は閉められていた。


覚悟は出来ていたがやはりショックだった。


瑠璃が疑心暗鬼になるのも無理はない。

だが苦しい思いを分かち合う寄りどころが必要だろう。


その寄りどころになれたらいいとずっと感じていた。


幼なじみとして…


そして…


言えなかったが、瑠璃のことが ずっと好きだった。


だから瑠璃の事が好きないち男として…



だが ここであきらめるわけにはいかない。



瑠璃をいじめた主犯格を必ず見つけ出してやる。



信用ならない俺の教師の力は絶対に借りたくない。




時間かかるかもしれないが、待っててくれよ。




こんなおせっかいな幼なじみを許してくれ、瑠璃。




俺は停学処分の解ける日を待ちわびた。