一週間後、停学処分は解けた。
大輔はいつもの笑顔で迎えてくれた。
休み時間の周りの生徒の会話に聞き耳を立てる。
もしかすると瑠璃に関することが聞けるかもしれない。
毎日毎日それを繰り返したが一向に有力な手がかりがつかめずにいた。
校内カウンセラーの元に行っても情報は皆無だった。
季節は梅雨から夏に変わろうとしていた。
突然お袋から連絡が入った。
ただならぬ嫌な予感がする。
授業に全く集中できず、ノートはまっさらな状態で昼休みを向かえた。
俺は人目につきにくい屋上に足を運んだ。
「もしもしお袋?何かあった?」
「瑠璃ちゃん亡くなったそうよ。今日お通夜だから早く帰りなさい。」
瑠璃が亡くなった。
その言葉を理解できない。
理解したくなかったのかもしれない。
放課後いの一番に学校を出て自宅に戻った。
喪服を着たお袋と共に瑠璃の家へ歩き出す。
通夜の記憶はほとんどない。
記憶に留める余裕は持ち合わせていなかったと言うべきか。
涙は出なかった。
悔しくて…
苦しくて…
自身が情けなくて…
悲しいのに…
涙は出なかった。
涙を流すことを忘れてしまったかのように…
複雑な心情を脳が理解できていないのか…
ただただ唇をきつく噛みしめていた。
帰り道一言も会話することなく一日を終えた。