結局一時間ほど、杏奈は静かに泣き続けた。
「ねぇ、今何時?」
やっとおさまってきた頃、杏奈は口を開いた。
「わかんないけど。外の様子見た感じではそろそろ部活の始まる時間かな。」
「えっ!!嘘!?泣いてて全然気づかなかった……アタシもう行くっ」
嘘!?
もういっちゃうの!?
いいかんじだったじゃんっ
杏奈はすでにドアの前。だけどなかなか、ドアを開けようとしない。
「──あのさ、さっき話した子が言いたいコトあるみたい。」
「?」
───ありがとう。
ガチャ
……今言ったよね?夢じゃないよね?
小さい声で
「ありがとう…か」