「大輔は確か、離婚したばっかだろ?傷心のお前は、今日は飲み代タダだな。俺たちが奢ってやるよ」


ケラケラと松谷隆盛が笑う。
こいつはちょっと意地が悪い。
ま、憎めない奴だが。

「紀子が居なくなってせいせいしてるんだ。ほっとけ。」

なんて、大輔が笑う。


―みんなが眩しく見えた。

なんだか、うらやましかった…。


なんか…世の中を生きてる感じがする。

しっかり根をはって、生きてる。
俺なんか、風が吹いたら飛んでいきそうだ。

なんかさ…。

俺には世の中が遠い。


まるで透明な壁を隔てた世界のようだ。