「苛ついた」

ぼそっと元が呟く

「だから見合いの夜は、妊娠させれば…有栖川との見合いが破談になるんじゃないかって思った
でも…有栖川とヤッた日に俺が頑張っても意味がねえんだって後から気づいて
すげえ悔しかった
だって乙葉が妊娠してもどっちの子かわからねえだろ?
生まれてきてしばらくしてから検査しなくちゃ…どっちが父親かなんてわからねえし
そのころにはもう乙葉は有栖川の妻になっているのか…て考えてたら、何もできない自分に腹立たしかった」

そうだったんだ

知らなかった

なんだ

わたしたち、両想いだったってわけだな

「そうか
良かった」

「良くねえよ」

「どうしてだ?
両想いだってわかったんだ
嬉しいよ」

「…そうだな
どっかで検査薬を買うか?
調べて見ろ」

「あ、うん」

良かった

妊娠していてもいいんだ

迷惑じゃないんだ