伊藤 由香。

小、中学校の同級生で、今は隣のクラスの、

俺の彼女だ。


「合わせたとは思ってないぞ。ユカはそんなに頭悪くない」

俺は眼鏡のふちを上げながらケンタの方に目をやる。

「ケンタだって、アオちゃんと一緒の高校行きたくてここにしたんだろ」


まぁな…と呟いたケンタ。

「なぁ、タクミ…正直に答えろよ。お前、本当はユカに弱みでも握られてんじゃねぇよな?」


…どういう意味だ?


「…脅されてるとでも?」


ケンタが真顔で頷く。


「…俺、弱みなんてないし、好きな女としか付き合わないから」


ケンタは大きなため息をつく。


「…なぁ、アイツのどこが好きなの?」


またその質問か。